080728 ■3/ 傷み■

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「お前、こわい。」

受話器から聴こえた彼の声。
その瞬間、その声に向かって
私は携帯を壁に投げつけた。

涙き声と嗚咽で会話もできず
心とは裏腹に
「死ぬ!」と一言叫んで
電源をOFFにした。
三度程不在着信があったが、
四度目は鳴らなかった。

呆れたんだろうな。
ただでさえ仕事で疲れてるのに、
お前の芝居の相手はできないって。
また子供扱いされる、きっと。
そんなに俺は暇じゃないんだって。

死ぬ気は無かったけど、
心配してほしかった。
ただそれだけ。
私がいなくなったら
悲しむのかな。寂しいかな。
でも、すぐ忘れられる。
そしてまた、誰かに恋をする。

睡眠薬を飲む勇気はなかったが、
とりあえず薬を20錠ほど飲んだ。
何かを必死に消そうと
水でいっきに流し込んで
ベッドにどっかり倒れ込んだ。
もうヘトヘトなんだ。疲れた。
体がずっしり重い。

何時間後か
ひどい激痛で目が醒め覚めた。
顔は涙でぐしゃぐしゃで
右手は携帯を握りしめていた。

今まで感じたことのない感覚。
お腹の痛みか胸の痛みなのか
もう、わけが分からなかった。

でも、ぼんやりした世界で
唯一はっきり、
分かったことがあった。

“確かな傷み”
“生きてる喜び”

傷みがあるから
恋だと気づく

傷みを知ったから
優しくできる

傷みがあるから
傷みが分かるから
また人を愛し
生きたくなる

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