I hope to tie me to tonight

カラダの奥で突然、動き出し叫ぶ感情。
知らない誰かが住んでいるみたい。
ヘッドフォンで遮断した空白の世界。
世間の声、騒音、過去の辛い記憶も消える。
背中を吹く風の気配すら感じない。
まるで、感覚がない。
そんな私を、車のライトが照らすだけ。

この不思議な世界から、初めて見えた色彩。
人間という点と点は、時に重なり交じり合う。
誰かの色に染まったり、汚したりもする。
自分自身を見失う時も。

今夜、私は煙の中を掻き分け歩いた。
夜になるまで、雑音の中を擦り抜けた。
空気中にはあなたの香り。
私を連れて行って欲しい、今夜。

私は孤独を探している。
私は居場所を探している。
私は自分自身を探している。

 

それぞれの事情や悩みを抱え、夜の街に繰り出す主人公たち。
彼らは、賑やかな酒場やクラブなど、あえて人々が集う公共の場を選び、孤独になりたがる。完全に独りになる勇気はない、人間の温もりを感じる場所で。騒々しい世間から距離を置く為、ヘッドフォンで周囲を遮断。すると、あるナンバーが流れてくる、『I hope to tie me to tonight』。
音が導いた空白の世界、そこは冷静に周囲を見渡せる心地よい居場所だった。客観的に、色んな人の人生の一部を垣間見れる特別な場所。様々な状況で悩み苦しむ人たちと出会い、辛いのは自分だけでは無いと思える。本当は泣きたい筈なのに、希望が湧く。“寂しいよ、もう一度逢いたい”。時に感情的になるのもいい。そんな素直な自分も悪くない。

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